押し込み穿孔 ゲレジの圧延理論 Ram Down Piercing A. Geleji's Theory of Plsticity
● アレクサンダー・ゲレジの本 訳 五弓勇雄先生
● 押し込み穿孔
  平均変形抵抗
  材料の流れ
  ポンチ荷重の計算式
  計算例
● アレクサンダー・ゲレジの本 訳 五弓勇雄先生
 お二人とも我々の大先輩で、著作物は古本屋さんにしかないと思いますが、比較的簡便な式で計算ができるので、その中のいくつかを紹介したいと思います。
● 押し込み穿孔
 コンテナ内の金属に、棒状のポンチを押し込むと、ポンチの移動に従って金属にあいた穴が深くなっていきます。本では上昇穿孔となっていますが、ポンチを押し込んで行くので、押し込み穿孔という題にしました。
 下の絵は、左から押し込み穿孔を説明した模式図です。
〇 平均変形抵抗
 材料は、均一の材質で、ポンチで過去できるように1200度C程度に加熱してあるとします。材料の変形抵抗は、加工中の温度低下を加工硬化で加工中に高くなる可能性があります。
 完全塑性体では、降伏後に加工硬化はしませんが、温度降下による降伏応力の増加が見込まrます。加工硬化型の場合は、温度低下に加えて、加工硬化による変形抵抗は増加します。
 塑性加工中の工具にかかる反力、駆動力などは、変形抵抗に影響されますので、加工の増分ごとに変えるべきでしょうが、簡便のために、加工前後の変形抵抗の平均値を全工程に適用することにします。
 平均変形抵抗の式は、単純な平均値でもいいと思いますが、いくつかの式が提案されています。
〇 材料の流れ
 上の絵の右から2番目が、ポンチが材料に押し込まれている様子を描いていますが、こときの材料の流れは次のように考えられています。
 ポンチの真下には、ポンチと一緒に動く円錐形の非変形部があると思われています。その下の材料は、ポンチで下に押されるので、左右に流れます。この流れは、ポンチの開口部に向かって移動すると思われます。ポンチとコンテナの表面では摩擦力が作用するので、材料の移動速度は、壁面で最小、壁面の間で最大になると思われます。(流体に非常に似た挙動をしていると推測できます。)
 この材料の流れを生む力は、ポンチから来ますが、ポンチにはその反力が作用します。
〇 ポンチ荷重の計算式
 ポンチに作用する力Pは、ポンチ下面の面積が材料に入り込む力P1、ポンチと材料の摩擦力P2、材料が開口部に向かって流れる際に必要な力P3がかかっています。それぞれ、次のように計算できます。
 条件
 材料寸法 d1 x L1
 ポンチ外径 d0
 ポンチ押し込み量 y
 ポンチ押し込み速度 v1
 摩擦係数 μp
計算式
 張り出し量 x = d1^2 y / ( d1^2 - d0^2 )
 ポンチ荷重 P = P1 + P2 + P3
P1 = pπd1^2 / 4
p = 2 km - kf
平均変形抵抗 km = kf ( 1 + 2 x μq / ( d1 + d0 ) ) / ( 1 - 0.93 d0^2 / d1^2 )
μq : ポンチ表面摩擦係数
P2 = π d0 x q μq
q : ポンチ表面圧力 q = kf (d1-d0) / d0
P3 = ψpV (l-b区間の塑性流れ)
V = (l-b) π d1^2 / 4
Ψ = C ( v1 / ( l - b ) ) ^ (1/4)
C = 0.025
〇 計算例
 計算条件
 材料外径(コンテナ内径)d1=170mm, ポンチ直径d0=50mm, クランプ長(素材高さ)L1=250mm, ビレット変形強さ80kg/mm2、ポンチ温度1250℃、ポンチ温度でのビレットの変形強さ kf=3kg/mm2、ポンチ押し込み速度 v1=3cm/s、ポンチ表面摩擦係数 μq=0.3、
 この値を前の式に代入して計算すると、次のようになります。
ポンチ初期 L=Lx, x=0,  P = P1+P3 = 109 ton
 km=kf(1+2 x μq/(d1+d0))/(1-0.93d02/d12)=3/(1- 0.93 x 52/172) = 3.26
 p=2km-kf=2x3.26-3=3.52 kg/mm2
 P1=pπd12/4=3.52x3.14X1702/4=80009 kg
 P3=ψpV=0.025x(3/25)0.25x3.52X25x3.14x1702/4=29431 kg
ポンチ移動距離 y=50 mm, l=200 mm,  P = P1+P2+P3 = 151 ton
 x =d12y/(d12-d02)=5.47 cm ポンチ穴深さ
 km=3(1+2x5.47*0.3/(17+5))/(1-0.93x52/172)= 3.75 kg/mm2
 p=4.50 kg/mm2
 P1=102103 kg
 P2= πd0 x qμq=3.14*5*5.47*300*(17-5)/5*0.3=18571 kg
 P3=30572 kg
Author : T. Oda
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